岩瀬直樹(原案)『きょうしつのつくり方』
- 作者: 岩瀬直樹(原案),プロジェクトアドベンチャージャパン(PAJ),荻上由紀子,苫野一徳,寺中祥吾
- 出版社/メーカー: 旬報社
- 発売日: 2015/11/16
- メディア: 単行本
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きょうしつの中の物語を見ることができる絵本。
絵本部分と解説部分に分かれていて、絵本部分にはあえて「文字」がない。
読者に想像させてくれる。子どもたちの1年間が絵本として21ページにギュッと詰まっている。
ボクは、子どもたちが帰った後のきょうしつで、この本をじっくりと読んだ。
なんか、心が広くなったような気がする。子どもたちを見る眼差しが温かくなるような気がするというか…。
つい、「学級の一員」としての子どもに目が行きがちなボクたち。
「学級の一員」として、こうあるべきだとか、なんでこの子はいつもこうなんだろうとか、思ってしまう。
だけどこの本を読むと、どの子にも物語があるんだなとわかる。
その子がどんな子なのか、その子の背景になにがあるのか、その子は今までにどんな気持ちを味わってきたのか、そんなことを考えると「学級の一員として」という言葉で子どもを見ることはできないんじゃないかな。
解説の中で、岩瀬先生が「凝集性の違和感」という言葉をつかっている。
本当にそうだと思う。凝集性のなかで、苦しんでいる子だっている。
高学年女子のグループなんかを想像するとわかりやすいかな。
凝集性が生み出す排他性はかなりキツい。
「学級の一員として」の責任を強要するのは、なんか違うよなあ。
お互いがお互いを、自然に、温かく、受け入れられるように。
ゆるやかなつながりの中で、その子の気持ちを尊重できるように。
不適切な行動だって、温かく見守られるように。待っているよと、伝えられるように。
う~ん。
記事を書いているうちに、温かく、ゆるやかなつながりは、相互尊敬に支えられているなと思ってきた。
それぞれの子の物語に目を向けてみる。
この本、子どもに温かく接したいなあと思っている人に、おすすめです。