斎藤喜博『授業の展開』
このような時期だからこそ、斎藤喜博先生の著書を手に取ってみた。
最近ではお笑い第七世代という言葉を目にすることが増えてきたけれど、
教員の世界にも世代をつけるとするならば、齊藤喜博先生は教員第一世代。
教員界のTHE・レジェンド。
この本の感想を一言挙げるとするならば、頭をガツン!と殴られた感じだ。
以前にも同じ感覚を覚えたことがある。
「授業の主体は人間である」と繰り返される齊藤先生の主張に、今までの自分はいかに形式的な授業をしていたのか痛感させられた。
「学校教育は、生きた人間と人間、人間と教材との接触・衝突の中で機能を発揮する」と仰られている。
この書籍には、エピソードが多く載せられている。その中で「実際に発問をし子どもがそれに反応していくとき、教師がまたそれに反応して、子どもの思考を意義づけたり、発展させたり、他の子どもの思考とつなぎ合わせたりすることができていなかった。」と、授業を参観した感想が書かれている。まさに自分のことを言われていると思った。
齊藤先生の考えるよい授業は、「教師が生身の人間としての教材解釈をもち、方法プランをもっており、それを生身の人間である子どもと授業のなかで激突させ、そのなかで自分の解釈も方法も変更していくような質の授業」だと書いてある。
授業は生き物。流動的なんだ。
なんだか最近、「ねらい」に向かって、子どもたちが活動し、交流し、ホワイトボードにまとめてハイOK。のような授業をしていた。
生身の人間同士がぶつかるような授業はまるでしていない。
お行儀よくまとめて、教材の深みに、思考の林に入らない授業。極めて形式的な授業。
心の交流の少ない授業。
齊藤先生の仰るような授業には、人間的にまだまだ到底及ばない。
だがせめて、毎日の積み重ねで少しずつ近づきたいと思う。
まずは、デザイナーとしての観点。
①その授業の目的を明確にする。
②目的達成のための発問を考える。
授業展開を保障する条件の中で大切なこととしてあげられていた。
授業の焦点化。堀先生の著書から言葉を借りると、「メインターゲット」を決める。
③子どもの反応を予想しておく。
④それに対し、問い返しを用意しておく。
子どもの反応に対する教師の反応まで考える。もちろん、授業の目的に近づくためのものという基準で教師の反応を考える。
つぎに、アクターとしての観点。
①全体指導場面での子どもとの対話を大切にする。
この意識を大切にする。T-Cの対話。
②子どもの表情を見て問い返しをする。
意見をつなげたり、意義付けたり、発展させたりする。
子どもが頷いたり、笑顔でハッとしたり、「わかった」と思ったとき、すぐその子に問いかけることができるようにしておく。
③机間指導で意見を把握しておく。
全体指導前に大切な下準備。
授業のパターンは大切にしつつも、形式的な授業から脱却しよう。
全体指導場面での対話が、今年度の課題だな。